【コラム】今、明かされる初代iPod発表会の真実ーー記者100人、予算5万ドルの幻のイベント。
Posted by ku-suke | Filed under ニュース
ascii24 Mac24 http://mac.ascii24.com/mac/news/ipod/2006/10/24/665391-000.html デジタル音楽プレーヤーの代名詞となったiPodが発表されたのは今からちょうど5年前。日本時間で2001年10月24日の深夜(米時間で10月23日朝)のことになる。 メディアも見抜けなかったiPodの可能性。 「ヒント:それはMacではありません」と書かれた謎の招待状が届いたのは、あの悲惨な9.11テロのショックも癒えない10月中旬のことだった。 米アップルコンピュータの本社講堂で静かに発表されたiPodは、まだMac専用で音楽再生以外の機能は一切備えていなかった(ブロック崩しゲームは隠し機能として用意されていた)。 iPodがどれだけ革新的な製品だったかを知るためには、当時のMP3プレーヤーの状況を知る必要がある。この分野でそれなりの知名度を築いていたのが米ソニックブルー社で、同社はiPod発表の2カ月前にメモリー型MP3プレーヤーの『Rio 800』とCD-R対応プレーヤーの『Rio Volt』を発表している。・・・・ “プラグ、アンプラグ&プレイ”のユーザー体験。 iPodは、その基本コンセプトや工業デザインも素晴らしいが、5年前の発表会では、これに加えて2つの事柄に重点を置いていた。 1つは“ユーザー体験”だ。ジョブズが言葉でそう説明したわけではないが、発表会の後、参加記者は全員、プロトタイプのiPodを受け取り、実際に曲をCDから取り込んで、iPodに転送する手順をハンズオンで教えてもらった。 ジョブズ氏は「プラグ、アンプラグ&プレイ(接続、接続解除そして再生)」と呼んでいたが、ご存知の通り、この一連の流れはiPodでは驚くほど簡単だ。 これが他のプレーヤーとなると、そうはいかない。当時は、まだMP3エンコード用ソフトと、曲の転送用ソフトが個別になっていることも多かった時代だ。 CDを挿入したら、MP3のエンコードに時間がかかるので、持ち歩きたい曲だけ狙いを定めてMP3形式に変換し、これを適当なフォルダなどに入れておく。 取り込んだ直後の圧縮ファイルは、“00001.MP3”というような連番形式の名前なので、わかりやすいように“01Libertango.mp3”といった具合に名前を修正する。ここで冒頭に数字をつけるのは、アルバムの中での曲順などをわかりやすくするためだ。 フォルダの中にある程度、曲が貯まってきたら、これを転送ソフトなどを使って転送する。容量不足ですべての曲が転送できない場合は、少し曲を減らしたり、減らした分、短めの曲をいれたりして調整する。 そうした体験とiTunes&iPodの体験には、明確な差がある。では、このiTunesはそもそもどのようなコンセプトで誕生したのだろう。 2001年の1月、ジョブズ氏は、これから先10年の新しいパソコントレンドとして“デジタルライフスタイル”戦略とそれを支える“デジタルハブ”の構想を発表する。 今後、デジタルカメラやデジタルビデオ、携帯電話などのデジタル機器が、われわれの日常にとってさらに重要な意味を持つようになる。 “Don't Steal Music” 第1世代iPodの発表会でもう1つ見落としてはならないのが、アップルがiPodの発表当初から著作権についての配慮を怠らなかったことだ。発表会でプレス向けに配られたプロトタイプのiPodは、“Don't steal music”と書かれた透明セロハンでラップされていた。 さらに驚くことに、アップルはこのわずか100人ばかりのプレスしかいない記者発表会のために、5万ドルほどの予算をかけていたという。iPodの価格は1台399ドルなので、これだけでは3万9900ドルにしかならない。残りの1万ドル強の行方はというと、実はプレスに渡す音楽CDに費やされていた。 アップルとしては、集まった記者達に帰りの道すがら、さっそくiPodの魅力を試してみて欲しい。そのためにはiPodにあらかじめ曲を入れておく必要がある。先に触れた曲を転送するハンズオンのセッションには、iPodに曲を転送しておくという意味もあったのだ。 しかし、ただ曲をコピーして渡してしまったのでは、アップルが闘っている音楽違法コピーに自ら加担してしまうことになる。そこでアップルは、ハンズオンセッションで使ったCD 20枚の組み合わせを、参加した記者全員分、買い揃えて配ったのだ。・・・・ 音楽配信サービス“iTunes Music Store”の登場は、まだ先の話だが、ジョブズはiPodの発表会の中で、すでにアップルが音楽著作権の見方であることを強調していた。 また質疑応答では、「iPodに入っている音楽をハッカーなどが無理矢理取り出して、パソコンに違法コピーすることはできないのか?」という質問が出たが、これに対してジョブズは「コンピューターに詳しい人間が技術を使えば、曲は取り出せる」としたものの「そうしたハッカー達とコピー保護のイタチごっこを続けるつもりはない」と付け加えた。 アップルは「あくまでも著作権の知識のない人が過って音楽を不正コピーしてしまうことを防ぐことにある」という立場を取ることを明らかにしたのだ。後にiTunes Music Storeで採用されることとなるデジタル著作権管理(DRM)技術の“FairPlay”も、基本的にはこの理念に基づいている。 アップルはこうやって、音楽レーベルの側に立つわけでもなく、違法行為に後押しされるでもなく、普通のユーザーが音楽をより楽しむためにはどうしたらいいのかを真剣に追求する形で、後に爆発的に成長することになるデジタル音楽ビジネスの扉を開いた。 最近、注目が集まる動画配信ビジネスでも重要なのは、このバランスではないかと思う。 長きにわたってデジタル音楽プレーヤーの最先端を走り続け、いよいよ5周年を迎えたiPod。アップルにはそろそろ、ぜひiPodに続くデジタル携帯機器の第2弾に手を伸ばして欲しいところだ。 と掲載されています。
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